生活習慣病

生活習慣病とは

Lifestyle Disease

生活習慣病とは、年齢を重ねることにより起こる「いくつかの病気」の総称のことです。 これまで年齢を重ねることにより起こる病気は成人病と呼ばれていました。 しかし、成人病は、日常の生活習慣を改善することで予防できたり時期を遅らせることが可能であるとわかってきたため、成人病という呼び方を止めて生活習慣を改善することで予防できるという意味を前面に出した名称「生活習慣病」 (Life-style related diseases)に変更されたという経緯があります。 生活習慣病は「いくつかの病気」の総称と説明しましたが、生活習慣病に該当するものには以下のようなものがあります。

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  • 高血圧、高脂血症
  • 心臓病
  • 痛風
  • 肥満、糖尿病
  • 脳血管障害
  • アルコール性肝疾患
  • 肺気腫、慢性気管支炎
  • 大腸癌、肺ガン
  • 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
  • 歯周病

女性の場合の
生活習慣病

女性の生活習慣病は、生活習慣の問題だけではなく、女性ホルモンであるエストロゲンが大きく関係しています。
エストロゲンは、女性の生活習慣病を予防するように働きかけ、女性の若さを保ってくれる効果があるのですが、女性の場合、閉経前後の45歳から55歳で卵巣機能が低下するため、エストロゲンの分泌量が急激に低下します。
女性の場合は、このエストロゲンの減少に伴う生活習慣病のリスク増加があるので注意が必要です。
エストロゲンには、以下のような作用があります。

エストロゲンの作用

代表的な例だけでも、エストロゲンには以下の7つの作用があります。

①高脂血症の予防 総コレステロールを抑え、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らしてくれます。
②動脈硬化を予防 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞のリスクを低下させてくれます。
③ 骨粗鬆症の予防 腸からのビタミンDの吸収を促進、骨からのカルシウム吸収を抑制します。
④ 膣の健康を維持 膣の萎縮や炎症、性交障害を予防してくれます。
⑤ 頻尿、尿もれの予防 尿道粘膜、筋肉の萎縮を防ぐ効果があります。
⑥美肌、髪のツヤ効果 皮膚の線維芽細胞に作用しコラーゲンの分泌を促進、ヒアルロン酸の生産を促進してくれます。
⑦物忘れ、痴呆症の予防 脳の動脈硬化を予防し、神経伝達物質や神経細胞に作用してくれます。

その他、白内障の予防や歯の脱落予防などにもエストロゲンが大切という報告もなされています。

生活習慣病と
診断されたら?

生活習慣病と診断された場合、「自身の生活を見直してくださいね」というアナウンスだけで終わってしまう場合も多いですが、当院の場合、患者様の環境や体調に合わせた無理のない改善方法をご提案しています。
具体的には、前の項目で説明したエストロゲンが足りない場合にはホルモン療法を行います。
ダイエットが必要な場合は、お薬を使った医療ダイエットのご案内などがあります。
禁煙が必要な場合は、禁煙外来についてご案内させて頂きます。
このように、当院の場合は生活習慣病ですと患者様にお伝えするだけではなく、生活習慣病の対策を一緒に行っていくことが可能です。
「生活習慣病かも」「生活習慣病の対策をしたい」という方は、ぜひお気軽にご相談下さい。

7つの健康生活習慣

以下のチェック項目は、健康的な生活習慣の代表例です。
当てはまる数が多いほど生活習慣病のリスクが少なく、寿命も長くなるといわれています。
当てはまる数が少ない方は、生活習慣病の診断を受けてみてはいかがでしょうか?

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  • 喫煙をしない
  • 過度の飲酒をしない
  • 定期的に運動をしている
  • 適正体重を保っている
  • 7~8時間の睡眠をとっている
  • 毎日、朝食をとっている
  • 間食はせず、バランスのとれた食事をしている

吉井院長アドバイス
・生活習慣病編

生活習慣病を「予防」できるのは今だけ

大切なのは、生活習慣病は予防できるということです。
若い頃には気がつかなかった小さなことの積み重ねが、老後の若々しさに大きな差をつけます。
女性の場合、女性ホルモンのエストロゲンが大切なことは前の項目で説明していますが、ここでは、予防という意味でも、ご相談の多いお酒と運動の面での生活習慣病予防を考えたいと思います。

お酒自体が悪いわけではない

昔から「酒は百薬の長」と言われるように、お酒は体に良い面もあります。
これはお酒による血管拡張作用で血流を良くしたり、善玉コレステロールを増やす作用からの効果によるものです。
適量の飲酒は動脈硬化の予防にも役立つとも言われているので、生活習慣病予防にも効果をもたらしてくれます。
ただ、これらはあくまでも適量、適切な飲み方を守った場合に限られます。
もっと具体的に言うと、医学的な適量とは、アルコールが1日20~25g程度を指します。
お酒の種類別ですと、以下のようになります。

ビール・・・500ml
日本酒・・・1合(180ml)
焼酎・・・・0.5合(90ml)
ウイスキー・・・60ml
ワイン・・・2杯(240ml)

飲み会で生活習慣病対策

飲み方を変えるだけでも生活習慣病の対策になります。
早いペースで飲むとどうしても基準値を上回ってしまうので、ゆっくりのんびりと嗜むように飲みましょう。
おつまみは、刺身や酢の物・冷奴などのような低カロリーのメニューにし、揚げ物は控えるようにすれば、お酒をゼロにしなくても生活習慣病の対策にはなります。
また、週に1日は休肝日を設けて肝臓を休める意識も大切ですので、曜日で休肝日を決めてみてください。

意外と大事なウォーキング

生活習慣病の予防に運動はとても大切です。
とはいえ、忙しい社会人には運動の機会は少なく、ジムに行くのもなかなか続かないことも多いと思います。
そこで、意外とおすすめなのがウォーキングです。

ウォーキングは歩き始めて20分辺りから脂肪燃焼が始まるとされています。
「最低20分やらないとだめ」と考えると少し腰が重くなりますが、実は脂肪燃焼効果を高めるために効果的な方法があります。
それは、最初に筋トレをしてからウォーキングをすることです。
筋トレは10分ほどの短時間で集中して行い、心拍数を高くします。
その後、ウォーキングで有酸素運動を行うことで、カロリー消費量がかなり変わってきます。
筋トレとウォーキング合わせて20~30分で十分ですので、ジムに通うよりも取り組みやすいのではないでしょうか。
ウォーキングの際は、歩幅を大きく、肩を前後に動かすイメージで行うとさらに効果的です。

もちろん無理は禁物ですので、運動前のストレッチや水分補給など自分の体と相談して行うように注意しましょう。

ウォーキングしている様子